純喫茶の装いをした「喫茶マコ」の扉を開いたとき、ほとんどの客が昭和を懐かしみ、和み、コーヒー一杯飲み、満ち足りて店を後にする。
人それぞれの過ごしかたをとやかく言うのは野暮だ。わかっちゃいるけど、もったいないなぁと余計な節介を焼いてしまう。たとえば、クリームソーダに浮かぶアイスクリームの絶妙な硬度に僕は店主の意図を感じる。それを口にしたら、店主はただニヤリと笑った。
「長生庵」の女将さんが収める絶品な卵の具をカリカリにトーストしたパンで挟むタマゴサンドにいたっては、気が遠くなるくらい美味しさの虜となった。かつてこれほどのサンドイッチを味わったことはない。最高の味を追究しているのに、ひけらかさず、クールな態度を保つ。かといって朗らかな笑顔も絶やさない。このバランスがすごい。築地はこうした若者で快楽に満ちた未来が拓かれつつある。その流れに乗りたい。
LEICA M-E , SUMMILUX 50mm f1.4
