動物や野道具などアウトドアでのシーンをモチーフにしたイラスト、雑誌『ポパイ』の人物画などの印象が強いイラストレーターのつがおかさん。作風はもちろん、長く愛用できるものを選び抜くセンス、海辺のライフスタイルも最高に格好いい。憧れの先輩が近所に暮らし、親交を深められている自分はラッキーだ。風が穏やかで、空が赤く焼けた日には仕事の手を休めてアトリエそばの葉山一色海岸でフライロッドを振ることもある。その優雅なシルエットにまた痺れてしまう。
立つのは決まって下山川が海と出会う地点。夕暮れどきにふらっと現れ、日没後しばらくしてサッと帰る。スズキなど晩酌の肴が当たらなければ速やかに諦める。その引き際が鮮やかで粋なのだ。
修繕しながら使い続ける道具が美しい。ウェアはフィルソンや90年代のパタゴニアがお気に入り。制作に関わった伝説のムック本『MADE IN USAカタログ』の無骨な世界観を地でいく人である。
帰路に着くつがおかさんと波打ち際を歩き、信じられないほど劇的な残照を眺め言葉を交わす。「おっ、あの雲は猫に見えるね」なんて。こんな景色を日常的に愛でる葉山一色の生活。住居のクオリティは先輩と大きな差があるけれど、快楽の極みである光と空気は同様に感得できる。この縁に感謝。
LEICA M-E ,MACRO ELMAR 90mm / f4
iPhone11PRO