金曜日にビーチコーミングアートを楽しんだ余韻か、土曜日は鎌倉、材木座海岸で久々に波打ち際を歩き、鎌倉時代のものと思われる馬の歯に遭遇。素早く移動しつつくまなく眼を配る能力、ものが発する気配を感知する勘が衰えていないことを確認でき喜ぶ。こうして無心になれる行為を短時間集中的に過ごしていると万事佳き流れになっていくと自分は信じていて、案の定、曇り空が晴れて好天してきたので鎌倉山へと移動。
鎌倉市街と海を見渡す絶景地、故・安西水丸宅そばに立つ「YAMA Gallery招山」が目的の空間。葉山の尊敬する古物商、ダルマちゃんこと大久保さんが選んだ古物が20日まで展示販売されているのだ。会場は唯一無二の感覚を思わせるユニークな佇まいが有名無名を問わず混然と配置。工業デザイナーの有名なアートピース、美しき実用品、復刻品のオリジナル、アノニマスデザイン、幾何学模様の絵や原初を思わせる逞しい形、不思議なもの。それらが確固たる選定基準を保ちつつ、抽出され、集まるさまに酔う。たったひとりの価値観、好きが合い、和わさる場には魅惑のエネルギーが流れていて、その強い情念にときどきは触れていたいとぼくは願う。
訪問時のタイミングではコテージからの風景や有名陶作家、安藤雅信さんの作品群には眼もくれず、来場者すべてが大久保さんが集めたものを夢中に物色(笑)。貴重な機会をむさぼるように満喫していて、その共有意識が愉快で嬉しく、値札の付いてないそれぞれを次々と尋ね、大久保さんがノリでプライス提示する市特有の高揚する時間を満喫していた。カイ・フランクのアルコールボトル『クレムリンベル』など30万円を超える希少品がある一方で、手軽に買えるものも色々。
ぼくはそんな気軽に手を伸ばせるひとつを選び購入。さいとうとおるさんと繋いでくれた縁にちなんだプラスチック製品。ボトルの形状と色味、パッキング栓とハンドルの佇まいに惹かれた。何の用途に使われたのかは不明だが、淡い色合いが、子どもの頃ときめいたカキ氷に溶けいくシロップの色を想わせて惹かれると大久保さん。何だかよくわからないのもお気に入りとか。ぼくも居間の棚に置いて、日々眺め、ときめく気持ちを物を通じて感得していこう。
LEICA M-E, SUMMILUX 50mm ASPH. / f1.4
MACRO ELMAR 90mm / f4