2015年11月15日日曜日

冰菓


台湾といったら何と言ってもかき氷。さまざまな具がてんこ盛りで粉雪のように繊細な氷に載り、しっかりと甘い。甘党にはこたえられないかき氷天国。台北市内に数多くある評判の店をすべて食べ歩きたい欲求はありますが、時間に追われる取材の合間、2軒だけ泣く泣く厳選して本場のおいしさを味わいました。一軒目は、台湾大学の前で40年あまりスイーツ好きを虜にしている「台一牛奶大王」へ。蒼井優さんのかき氷愛が満載の『今日もかき氷』(マガジンハウス)でも紹介されている店。壁にずらりと記された豊富なメニューが圧巻。しかし、すべて繁体字。漢字の字面から想像するも、さっぱり内容がわかりません。実物の写真が添えられていたので、それを指差しながらなんとかオーダーできました。テイクアウトもできるそうですが、氷はあっという間に溶けてしまうので、持ち帰るのに許される時間はごくわずか。店内が満席のときに、道端で食べられるようにという配慮なのでしょうか。頼んだのは、小豆や緑豆、タロイモをはじめ、いろいろな具と練乳で氷が覆われるもの。しかも頂上にはパンナコッタがどーん。嬉しいじゃないですか、このボリューム。ニヤニヤしながら写真を撮りまくっていたら氷解水が皿からあふれ出てきたので、あわててスプーンですくう。またたく間に完食し、眉間がキーン。汗もすっかり引きました。日本では体験できない、具沢山のハーモニー。多幸感でしばらく呆然。11月初旬で季節は冬に向かおうというのに、外は夏並みの暑さと高湿度。冬になると温かいスイーツにメニューが入れ替わるとのことでしたが、駆け込みで、冷たい夏スイーツにありつくことができて、よかった。こんなスイーツを日々口にできる学生たちに嫉妬しちゃう。


大好きなものを語るとき、ぼくは雄弁になりますねぇ⇧。台湾のかき氷といえば、やはりマンゴー入りを食べないと帰国できません。が、マンゴーの季節は10月末で終え、すでに店頭からマンゴーかき氷が消えている、もしくは冬の長期休暇に入る店も。タイミングが合わなかったとなかば諦めつつ、無農薬、無添加の果物だけを吟味するフルーツパーラー「百果園」へ南国果物のドライフルーツを買いに立ち寄った際、イートインのメニューにマンゴーかき氷を見つけて歓喜。当然ながら、嬉々として上品な甘みを堪能しました!
 


繁華街からやや離れた一角で、こじんまりとしたカジュアルな空間なのですが、室内には何気なく上質なムードが漂います。それはきっと集まる良いものが醸し出す空気感なのだと思います。テーブル席で地元マダムらしき女性たちが幸せそうになごむ様子もいい。新鮮フルーツのほか、自家製ジャムなど加工品も魅力。洒落たパッケージも印象に作用しているのでしょうが、ここでは本当に良いものを手にできるという確信的な直感がパッと浮かびました。そんな気配が確かにある店です。乾物類の専門問屋がひしめく市内の迪化街をさまよい、失敗を重ねた末、好みのものに出合うのも一興。しかし、いきなり良いものを手にする安息感に浸りたいのなら、多少いいお値段ではありますが、百果園でお土産を選んでしまうのも賢明ではないかと。ちなみに、この店は裕福な台北マダムのみならず、ビル・クリントン元米国大統領も贔屓にしているそうですよ。

LEICA M-E , SUMMILUX50mmASPH.