宗教には無関心だし、霊感も皆無だと思うけれど、石や木、山、海、野生動物など自然を崇拝する心や場所には興味をひそかに抱いてきました。その関心をぐいぐいと引き出されるような一冊に遭遇。昔から自然への畏れと敬意が払われ、精霊や神話が今も息づく地域をめぐった人類学者と写真家。二人の旅を、立花文穂さんがデザインして造本した「野生めぐり」。ネガフィルムを用いた田附 勝さんの念写、石倉敏明さんの冷静な視点、2人の息吹が手のこんだデザインによって濃密に束ねられている。本が内包する3人の情念にぐいぐい引きこまれて、いっきに読了。
田附さんのコンタクトプリント(コダック・ポートラ400)、取材の資料、取材メモ、内容や構成を検討する本の設計図「台割」など、本の素材を開示した展示が先日まで神宮前の「ユトレヒト」で開催。強く惹かれる本がかたちになる過程を覗けるとあって、縁も感じつつ、足を運ばずにはいられませんでした。展示物のなかで、とくに眼に留まった護符が一枚。まるで神秘の世界へと誘っているよう。その誘いに素直に応じて、小さな旅をしてみたいと思います。後日に続く。
追記:撮影を許可してくださった「ユトレヒト」の皆さん。blogアップが会期後になって申し訳ございません。あのような素晴らしい展示を引き続き楽しみにしています!
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH.