2017年10月26日木曜日

京橋の焼き鳥


日本橋高島屋での催事手伝いに来ていた妻と京橋で待ち合わせ。街灯が暗めな界隈。クラシックなビルの暖色灯が美しく映える。外国の街みたいな情景に、夢心地に中央通りをさまよう。目指すは明治屋脇のストリートを入った飲食店街。東京駅は目と鼻の先のエリアなのに、このあたりは大正、昭和初期の古い建物がまだ息づいている。


昭和26年創業の「都鳥」は満席だったので、隣の大正10年創業の「伊勢廣本店」へ。給料日前日の火曜日だというのにどの店も大繁盛。給料のよい大きな会社の人たちが常客なのだろう。僕らは場違いな存在だけど無理して店の隅におさまる。もちろんカード払い。


給仕の女性は「とても狭いけれどよいですか?」と恐縮していたけれど、アールを描くテーブルの奥隅はすこぶる居心地が佳い。焼きをまかされる職人の凛とした姿勢、焼き上がった串を運ぶ機敏な動き、見習い弟子の純朴さ、喫煙・携帯電話禁止のルール。風格や毅然を見渡し、感得できる。その適度に保たれた緊張感が自分には心地よい。


おまかせの焼き鳥コースで上質な鶏肉と職人の技を堪能。絶妙にやさしいあんばいの味付け。唸るほど旨い。山形の大好きな純米酒「十水」を熱燗でいただき至福な鶏三昧。老舗の味わいが体と心に沁みるように溶けていく。

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