2020年4月1日水曜日

ナチュールマスター



自然派と謳うものも含めて呑むときまって気分が悪くなっていたワイン。そんなワインへの許容量が狭く小さいぼくに、スルスル呑めて心身が悦ぶナチュールワインの悦楽を教えてくれたのは築地場外市場「酒美土場」の岩井さん。彼がすべて呑んでから選び抜くワインはどれもが心地よく酔える。たぶん彼の身体フィルターと自分のそれとがシンクロしてるってことなんだろう。そう自分にとっての真理に気づいてからは、「酒美土場」オンリー。ほかの店を訪ねようとはまったく思わなくなった。



先日は白のナチュールを呑みたくなって、岩井さんに選んでもらった。すべておまかせで、そのときどきのお勧めをいただく。彼は個人的に好きなオーストリアの白をいったん指さしてから、「あと、ちょっと高いんですが、これはめちゃくちゃ旨いです!」と満面の笑みを浮かべて手にしたのがシチリア島のワイナリー、I Vigneri(イ・ヴィニェーリ)の一本。ぼくがふだんここで角打ちしているボトル2,000円台、グラス600円ぐらいのワインだってふだんのデイリーワインと比して雲上のおいしさ。しかし、「めちゃくちゃ」とはどんな次元なんだ!と宇宙にまで突き抜けるような領域を覗きたくなる。



なんて創造的なボトルだろうか。ロゴはブドウの樹をかたどっている。さすが美の国。



家に持ち帰った晩に開ける。おのずと昂揚してくる。



圧巻としかいいようがない深き旨さ。夢の世界へ一直線。ナチュールの本当に素晴らしいワインは価格に比例するのが現実。岩井さんの店では5,000円前後からというのが目安だろうか。ぼくの経済状態からはかなりの贅沢だけど、ときどきはこうした本物に感動したいなぁ。佳いものに心酔する体験、一生であと何回できるだろうか。

LEICA M-E , ELMARIT28mm 2nd / f2.8
Panasonic GF-1 , MACRO ELMAR90mm / f4 with LEITZ16469Y